樋口洋子(ひぐち ようこ)
千葉工業大学 情報変革科学部 認知情報科学科 助教
博士(人間・環境学)
専門領域
認知心理学
主な担当予定科目
認知情報科学入門・認知情報科学演習・プログラミング演習(情報変革科学部)
社会心理学(社会システム科学部)
樋口研究室では、学習、記憶、注意に焦点をあてて、認知心理学の研究を行っています。
たとえば、ほかの人がすぐに見つけられたものが、なぜか自分にはなかなか見つけられないという経験はないでしょうか。あるいは、みんながとっくに忘れてしまったことを、自分だけがいつまでも覚えているという経験があるかもしれません。私たちの世界の見え方は、人それぞれ異なることがあります。その一方で、多くの人に共通した世界の見え方というものも確かにあるのです。どうして人の認識には違いや共通点があるのでしょうか。このような問題を考えるために、認知心理学の研究知見が役に立ちます。認知心理学は「認識と知識」の学問であるといわれます。人間が自分をとりまく世界をどのように認識しているのか、どのように複雑な世界から知識を得るのか、そしてどのようにその知識を使うのかということが認知心理学における主要な研究対象です。
私たちの世界はしばしば安定的で、予測可能です。たとえば、大学の風景は、だいたいいつでも同じです。大学を何度も訪れれば周辺の道がわかるようになり、建物の配置を覚えることができます。キッチンの風景はどこの場所でも似たようなものですね。スポーツの動きには時系列的なパターンがあります。ものや出来事には、似たような場所で似たような順番で現れるという統計構造があります。当研究室では、そのような統計構造の学習・記憶のしくみや脳内メカニズムに関する研究を行っています。
Higuchi, Y., Ueda, Y., Shibata, K., & Saiki, J. (2020) Spatial variability induces generalization in contextual cueing. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 46, 2295–2313.
Higuchi, Y., Oblak, E., & Shibata., K. (2022). Distinct brain mechanisms of remembering individual events and their relationships. Journal of Vision 22(14), Vision Sciences Society 22nd Annual Meeting
人間は膨大な情報に晒されながら、日々の生活をおくっています。町なかではたくさんの人、乗り物、色鮮やかな看板が目に入ります。雑踏を歩いていると、人々の会話や車のエンジン音、鳥の声などが聴こえてきます。人間の生きる世界にはとにかくたくさんの情報があり、そのすべてを処理することはできません。私たちは、膨大な情報のなかからいくらかの情報を選びとって、優先的に処理しています。ある情報を選択的に処理して、ほかの情報を無視する機能を注意とよびます。当研究室では、人間の注意の特性を理解し、運転支援などの技術開発につなげる研究を行っています。
Higuchi, Y., Inoue, S., Hamada, H., & Kumada, T. (2020). Artificial optic flow guides attention in a driving scene. Human Factors: The Journal of the Human Factors and Ergonomics Society, 62, 578–588.
Higuchi, Y., Inoue, S., Endo, T., & Kumada, T. (2019). Task-irrelevant optic flow guides attention in visual search. Attention, Perception, & Psychophysics, 81, 1327–1345.
環境中のダイナミックな運動情報であるオプティックフロー(動画中の動く白丸)の湧き出し口に、無意識に注意が向かうことを明らかにしました
オプティックフローを利用して、危険なものにドライバーの注意を向けさせる技術を考案しました
その他の研究業績はリサーチマップをご覧ください。